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2006年11月 アーカイブ

2006年11月26日

Hakaの消えた日 - Wales vs New Zealand -

Haka両国の国歌が斉唱され、選手たちがグランドに散る。
オールブラックスのメンバーが陣形を作り、歓声と怒号が徐々に高まっていく。
Hakaの始まりを告げる声が高らかに響き、21人の戦士たちが低く応える。
湧き上がるウォークライの高揚感、その威武に立ち向かい、あるいは受け流し、これから始まる闘いの熾烈さに備えようとする相手国。
そんなオールブラックス戦における「伝統の儀式」がこの日、突如として消えた。

事の起こりは昨年のウェールズとのテストマッチ。
Hakaは両国の国歌斉唱後ではなくNZ国歌の後、ウェールズ国歌の前という不自然なタイミングで行われた。
この年はウェールズ対ニュージーランドのテストマッチ開催100周年にあたり、開催国のウェールズからの要請をニュージーランドが「この年限り」という約束で受け入れたものであった。
ところが、今年の10月16日にウェールズから送られてきた進行表には、昨年同様の順序でHakaを行うよう記されていた。
ニュージーランドは愕然とし、彼らの誇りと伝統を守るべく抗議を申し入れる。しかし、マオリ有識者にも質問を出し問題無しとの回答を得ているというウェールズとの話し合いは、平行線を辿る。
結局、交渉は試合直前ま続けられるが(事実それらは、ウェールズの選手達がグランドに姿を現している頃にも続けられていた)、ついにニュージーランドの主張が受け入れられることは無かった。

やむをえず彼らは国歌と国歌の間ではなくグラウンドに姿を現す前に、ロッカールームでHakaを行う。
ロッカールーム前でのHaka

ロッカールーム前でのHaka。手前は、いつも以上に気合の入った(怒りの?)表情のAli Williams

何も事情を知らされていないカーディフの75,000人の観衆は伝統のHakaが行われないことに大きなブーイングを発し、審判員も試合開始を遅らせて事務局に事情を問い合わせる事態となった。
オールブラックスの代表監督であるGraham Henryは語る。
「Hakaは選手たちのためのものなんだ。ファンや観衆たちのためにではなく、ニュージーランドのラグビーと選手たち自身を奮い立たせるために、あそこでHakaをしたんだ。」

大切な国際試合の緊張感の中で、「いつもと違うことをする」のはそれだけでリスクだ。
常勝チームは、ここ数十年における「非常」事態を、その本質を見失わずに自らを鼓舞することで切り抜けた。
いや、むしろ彼らの行き場の無い怒りは、いつも以上の激しさになってウェールズにぶつけられたとも言えよう。

2006.11.26 Cardiff
Wales 10 - 45 New Zealand

2006年11月28日

Richie McCawがIRBの年間最優秀選手を受賞

IRB Award 06
11月26日、IRB(International Rugby Board)による2006年の各賞が発表された。

2006年のテストマッチを12戦11勝とし、まさに世界に敵無しの感があるニュージーランド。
その1年を象徴するように、IRB Awardsはオールブラックス一色となる授賞式であった。

注目の最優秀選手賞には、献身的なプレーと強力なキャプテンシーで個性派揃いのオールブラックスをまとめあげたRichie McCawが見事に受賞の運びとなった。
McCawの受賞の声(mp3)

昨年の同賞受賞者であるオールブラックスのDan Carterも、オーストラリアの名フルバックChris Latham、南アのFourie du Preez、アイルランドのPaul O’Connellらと共に優秀選手に選出されている。

最優秀チームも、昨年に続きオールブラックスが獲得した。
2004年6月よりIRBランキングでも1位を守り続けており、名実共に最強の座を完全に掌中におさめている。
また、それにあわせて監督であるGraham Henryも最優秀監督を受賞し、ニュージーランドは見事「三冠」を獲得した。

スピードがものをいう7人制ラグビー(Sevens)部門においては、2005、06年とIRB Sevensシリーズを連覇しているフィジーがチーム賞に輝いた。
Sevensの最優秀選手賞はサモアのキャプテンUale Maiに与えられ、Sevensにおけるアイランダーの強さを証明した。

Black Ferns(ニュージーランド女子代表チーム)のSO、Anna Richardsは惜しくも女子部門の優秀選手賞となり、最優秀選手賞はイングランドのフランカーMargaret Alphonsiに贈られた。

さらにIRB Awardsは、ラグビーの発展に特に貢献のあった選手やコーチ、組織や個人を表彰するHall of Fame(ラグビー殿堂)の設立を発表。最初の殿堂入りは、William Webb Ellis and Rugby Schoolと発表された。William Webb Ellisとは、ラグビーの発祥と言われる「サッカーの試合中に興奮してボールを手に持ち、走り出した少年」である。

2006 IRB Awards 受賞者

IRB International Player of the Year(最優秀選手):
Richie McCaw (New Zealand)
IRB International Team of the Year(最優秀チーム):
New Zealand
IRB International Coach of the Year:(最優秀監督)
Graham Henry (New Zealand)
IRB International U19 Player of the Year:(19歳以下 最優秀選手)
Josh Holmes (Australia)
IRB International U21 Player of the Year:(21歳以下 最優秀選手)
Lionel Beauxis (France)
IRB International Sevens Team of the Year:(Sevens 最優秀チーム)
Fiji
IRB International Sevens Player of the Year:(Sevens 最優秀選手)
Uale Mai (Samoa)
Spirit of Rugby Award:
Polly Miller
Vernon Pugh Award for Distinguished Service:
Brian Lochore
IRB Referee Award for Distinguished Service:
Peter Marshall
IRB International Women's Personality of the Year:(女子 最優秀選手)
Margaret Alphonsi
IRB Development Award:
Mike Luke
IRB Hall of Fame inductees:
William Webb Ellis and Rugby School